[ 定期総会 ]
2017年7月21日(金)17時より帝国ホテル大阪4階「牡丹の間」におきまして、大阪日豪協会第23回定期総会が開催されました。
会則に基づき、富田会長が議長に選出され次の通り、議事が進められました。
1.報告
(1) 2016年度事業報告
(2) 2016年度決算報告
(3) 2016年度監査報告
2.議案
(1) 2017年度事業計画の件
(2) 2017年度収支予算の件
(3) 会則一部改正の件
(4) 2017年度/2018年度役員改選の件
以上の報告・議案説明のあと採決に入り、全報告・議案ともに満場一致で承認・可決されました。
今回は2008年以来9年ぶりとなる会則の一部改正を行い、理事と評議員の区分をなくして理事に一本化することを決議しました。又、役員改選議案では新任役員3名を含む新たな役員が選出されました。
来賓としては、レイモンド・ローチェ駐大阪オーストラリア領事、総会後の記念講演の講師をお願いした小西酒造株式会社 小西社長、落合総領事秘書の3名をお招きし、議事終了後、レイモンド・ローチェ領事にご挨拶をいただきました。
全体の進行としてはほぼスケジュール通りで進み、スムーズな議事進行の中にも大変盛り上がりのある定期総会となりました。
[ 講演会 ]
小西酒造株式会社 代表取締役社長 小西 新太郎氏 を講師にお招きし、
「【豪酒】は【日本酒】か【清酒】か」
~ オーストラリアでの初めてのお酒造りとその後の展開 ~
をテーマにご講演いただきました。

小西酒造株式会社は、1550年に創業。15代目社長、小西新太郎氏の講演は、467年の歴史を有するだけに、重みと興味溢れる語り口に、約100名近い聴衆は聞き惚れました。何と、最初に聴衆者全員に豪州で作られたお酒が、TASTING用として、無料で提供されました。出席者は、驚きましたが、外は蒸し暑い天候、不快指数は高い中、小西社長は「冷えていますので、温かくならない内に、試飲して頂いて結構です」との講演会の最初に、粋な計らいを頂き感激した聴衆も多かったのではないでしょうか。
早速に感想を聞いて見ました。「飲み易い」「スキットしている」との感想でした。その味を脳裏に1時間余り、聞く「オーストラリアでの初めてのお酒造りとその後の展開」についての講演は、興味深く、迫力満点の内容でした。生の情報を経験者からお聞きする「豪酒」は「豪州」と相俟って日本最古の清酒銘柄「白雪」への愛着も増したと確信します。
①清酒製造へのチャレンジは、生産地選びからです。米を文化とする国が候補となりました。しかしながら、タイの水問題、中国は基本インフラが未整備から、豪州に向いました。
②豪州には、米のパイオニアである高須賀氏がおられ彼の協力を得られる事になりました。つまり、明治38年、松山の篤農家 高須賀穣氏が日本のコメ種子を持ち込み、稲作を開始していたのです。ビクトリア州 Swan Hill で1906年に高須賀穣氏が 豪州で初めて米作りを始め、ニューサウスウェールズ州 Leetonでも米の産地となりました。
③1996年の豪州での会社設立以来、豪州産の米、AMAROO 及びREIZIQのみで 酒造りを継続して来ました。2008年の史上最悪の干ばつでも供給を受けることができたのは画期的であります。
④原料米事情には豪州独特・特有な内容があり、興味深いです。例えば、水、気候風土に関して、驚くべき事ですが、陸稲の驚きは、水量レベル合わせ、飛行機に よる種まき、をする事です。日本では考えられない手法です。その他にも輪作の知恵及び低農薬などがあります。
⑤現地在留の日本人のお酒造りへの熱意をベースに、5社で Sun Masamune Pty.,LTDは豪州に誕生しました。
⑥原料米の生産者団体であるライスグロワーとの友好関係を樹立させ、お米の供給だけでなく経営にも関与して貰っています。
⑦色々な経営難問にも直面しましたが、その内容は、生産品目が、ワインともビールとも違う清酒である事とその企業設立の難しさであります。
⑧サンマサムネ社のマーケティングは、現地マーケットの開拓 RTD 「 ready to drink」をベースにして、炭酸系飲料 (スピリッツがベースのRTD) 無濾過生原酒・オーク樽熟成清酒及びGo-Shu Plum Wine等で始めました。勿論、第三国、バヌアツ、モーリシャス、等への輸出もしております。同時に、副産物であります米糠も利用して、関連製品を販売しております。
⑨豪州はクラフトビール先進国でもあり、 楽しいビールの宝庫ですので、ビールにも目を向けて新たなチャレンジとして、豪州のクラフトビールの輸入を、オーストラリアン・ブルワリーから開始しております。
Summer Night Partyでは、Australian Breweryのビールを頂きながら、豪州の「豪酒」とホップにも拘った「豪ビール」の話は、尽きないほど、講演会に感動を覚えたのは、筆者の私だけでしょうか。
講演会の題目について、「清酒」としか言えないと、お聞きしました。背景は、外国産の清酒との区別を明確にする為、国産米や国内の水を使って国内で醸造された清酒だけを「日本酒」として販売している事の様です。注:平成27年12月に国税庁は「地理的表示「日本酒」指定について」に記載されています。
(文責:理事 坂本章)