日 時:平成29年10月27日(金) 18:30~19:45
場 所:阪南大学 あべのハルカスキャンパス(あべのハルカス23階)
参加者:40名
テーマ:「新・技のデパート 宇良関の今昔について」
相撲界の人気力士、宇良関、を関西学院大学で育てた相撲部総監督の石坪昭宏氏の講演会に集まった人数は40名。大阪日豪協会ハローマイト懇話会での参加人数としては新記録だ。それだけ宇良関について知りたい人が多いのだろう。
石坪氏は、大阪日豪協会での講演会であったので、オーストラリアと相撲との切り口から、石浦関の経歴を披露。石浦関は、何と2012年7月に相撲のオーストラリア国内選手権で優勝している。170キロもあるオーストラリアチャンピオンを投げ飛ばした事が相撲界に入るきっかけとなったらしい。興味深い。
一方、今回主題の宇良関は4歳から相撲を始め、中学では相撲とレスリングをしたが、高校卒業時は身長166センチ、体重70キロで、大きくなかった。
大学は関西学院大学に入学し、石坪総監督の指導を受けた。1回生時、西日本体重別及び全国体重別65キロ未満級で見事優勝するも、西日本体重別で65キロ未満級の1回戦で敗退。相手は京都大学1回生の相撲未経験者。この苦い経験を転機に、その後は無差別級を目指すべく、増量を努める様になった。何と毎日米5.5合を食べる事を心掛けたと聞き、驚いたのは私だけではないだろうか。
大学の3回生、4回生になると、頭角を現して来た。2013年10月にロシアで開催された「第2回ワールド・コンバット・ゲーム」の相撲の部・軽量級で見事チャンピオンに輝いた。殊に準決勝で筋肉質のロシアの選手と対戦。冷静に距離を保ち、一瞬の隙に必殺の「居反り」を仕掛けて、相手を宙に浮かせ、頭から土俵に押し付けた。「世界一達成の瞬間は頭が真っ白でした。もっともっと鍛えて、自分より大きな相手に挑んで行きたいです」とコメントをして、将来に意欲を見せていた。
宇良関は木瀬部屋に入門。平成27年に前相撲。十両上位にいた平成29年1月場所で11勝4敗の好成績で、翌3月場所新入幕。幕内3場所目の平成29年の7月名古屋場所9日目で対横綱・日馬富士戦において見事「とったり」で初金星をあげた。その後、NHKインタビューで涙したシーンは相撲ファンに感動を与えた。しかしながら、同場所翌日の高安戦で右膝前十字靭帯損傷し、その翌9月場所の2日目に貴景勝に押し切られ、その古傷が損傷から断裂となって、休場を余儀なくされ、現在に至っている。講演では、ちゃんこ鍋の種類の多さと相撲部屋毎の料理法及びアマチュア相撲の普及活動も説明された。その後、JETRO時代から今日まで職務とされている食品・食料の海外輸出についても概略説明を頂いた。最後の質問コーナーでは、「オリンピックに相撲が採用されないか?」「オリンピックの訪日外国人にちゃんこ鍋を振舞ってはどうか?」など、文化的な側面からの鋭い質問も出された。講演会終了後、大阪日豪協会員ではない出席者からも、多くの賛辞のご意見を頂いた。宇良関の更なる活躍を期待し、怪我の早期回復を念じている。木瀬親方は、「本人に任せる」と発言。石坪氏は「手術するなら復帰まで半年以上かかる」と言う。これからも目が離せない。
(文責:坂本章)